住宅性能表示制度とは?

 住宅性能表示制度は、【住宅の品質確保の促進等に関する法律】の中の柱として作られました。
 この制度は、住宅の性能を共通に定められた方法で示し、第三者が確認し、住宅取得者にその性能を表示する制度です。実施は任意で活用することができ、どなたでも申請できます
 住宅のチラシなどでよく見る「耐震等級3」などの表記が、この住宅性能表示が示す等級になります。建築を知らない人にとっても分かりやすい表記で、住宅の性能を見比べる時に便利ですよね。

表示される性能

 表示される性能区分は、10項目あります。各項目内の主な評価項目と等級を合わせてご紹介します。

  1. 構造の安定(地震や風などに対する強さ)
    • 耐震等級(倒壊防止):等級1~3(必須)
    • 耐震等級(損傷防止):等級1~3
    • 耐風等級:等級1~2
    • 耐積雪等級(多雪区域のみ):等級1~2
  2. 火災時の安全
    • 感知警報装置設置等級(事故火災時):等級1~4
    • 耐火等級(開口部):等級1~3
    • 耐火等級(開口部以外):等級1~4
  3. 劣化の軽減(柱や土台などの耐久性)
    • 等級1~3
    • 等級2、3の場合はそれぞれの等級に定められた基準をすべて満たす。
    • 基準項目 
      イ.外壁の軸組等の防腐防蟻基準
      ロ.土台の防腐防蟻の基準
      ハ.浴室・脱衣室の防水の基準
      ニ.地盤の防蟻の基準
      ホ.基礎の高さの基準
      ヘ.床下の防湿・換気の基準
      ト.小屋裏の換気の基準
      チ.構造部材等(建築基準法)の基準
  4. 維持管理・更新への配慮(配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策)
    • 等級1~3
    • 等級2の場合、イロハの基準を、等級3の場合、イロハニホの基準を満たすこと。
    • 基準項目
      イ.配管の基準
      ロ.地中埋設管の基準
      ハ.排水管の基準
      ニ.排水管の清掃の為の措置の基準
      ホ.配管点検口の設置の基準
  5. 温熱環境・エネルギー消費量(省エネルギー対策)
    • 断熱等性能等級:等級1~4
    • 一次エネルギー消費量等級:等級1、4、5
  6. 空気環境(シックハウス対策・換気)
    • ホルムアルデヒド対策
    • 換気対策(居室の換気対策、局所換気対策)
    • 室内空気中の化学物質の濃度等(建設評価のみ)
  7. 光・視環境
    • 単純開口率
    • 方位別開口比
  8. 音環境(遮音対策)
    • 透過損失等級(外壁開口部):等級1~3
  9. 高齢者への配慮
    • 等級1~5
    • 等級2以上の場合はそれぞれの等級に定められた基準をすべて満たす。
    • 基準項目 
      イ.部屋の配置の基準
      ロ.段差の解消の基準
      ハ.階段の安全性の基準
      ニ.手すりの設置の基準
      ホ.通路・出入口の幅員の基準
      ヘ.寝室・便所・浴室の基準
  10. 防犯
    • 階、及び開口部の区分ごとに、下記のいずれかを表示
      イ.すべてが侵入防止対策上有効な措置の講じられた開口部である場合
       →「すべてが侵入防止対策上有効な措置の講じられた開口部」と表示
      ロ.一部またはすべての開口部に対策を講じていない場合
       →「その他」と表示
      ハ.侵入可能な規模の開口部がない場合
       →「該当する開口部無し」と表示
    • 開口部の区分ごとの表示(開口部の種類と位置により、開口部を3つに区分して表示)
      a.住戸の出入口
      b.接近が比較的容易な開口部
      c.その他(a及びb以外)
    • 開口部の侵入防止対策
      戸や錠、サッシやガラス、雨戸などに防犯建物部品(CP表示品)を用いることが有効

 この内、「構造の安定」(一部選択項目有)「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境・エネルギー消費量」の4区分については必須項目となっており、残りは選択となります。
 また、【液状化】という項目がありますが、これは申請者からの申し出があった場合、参考情報として提供するというものになります。

対象となる住宅

  一戸建ての住宅、共同住宅、長屋などの専用住宅の他に、例えば、事務所や店舗との併用住宅も対象となります。
 平成12年の施行時点では新築を対象としていましたが、現在(平成14年以降)は既存住宅も対象になっています。 
 また、建築基準法に適合している住宅が対象となります。

申請の流れ(請負契約の場合)

  1.  設計

    • 一つの項目に複数のチェックポイントがあり、その内の一つでも足りていないと評価が低くなってしまうことがある為、設計の段階で、評価を行う項目のチェックポイントを意識しながら設計をする必要があります。
  2. 申請(設計評価)

    • 下記の図書を登録住宅性能評価機関に提出し、申請します。
      1. 設計住宅性能評価申請書
      2. 自己評価書
      3. 設計内容説明書
      4. 図面や計算書など
  3. 設計住宅性能評価書の交付

  4. 請負契約

    • 請負契約時に設計住宅性能評価書(または写し)を請負契約書に添付した場合、請負人はその評価書に記載された性能を有する住宅の建設工事を行うことを契約者に対して契約したとみなされます。(住宅の品質確保の促進等に関する法律 (品確法)第6条)
  5. 建設評価の申請

    1. 建設住宅性能評価申請書
    2. 設計住宅性能評価書の写し
    3. 建築基準法による確認済証の写し
    4. 設計評価時の自己評価書・設計内容説明書・添付図書の写し
    5. 施工状況報告書の写し
  6. 施工

  7. 検査

    • 原則として、施工段階における3回の検査完成時における検査の合計4回の現場検査を行います。
    • 検査時に必要となるもの
      1. 施工状況報告書
      2. 施工関連図書
  8. 建設住宅性能評価書の交付

  9. 引き渡し

最後に

 今回は、住宅性能表示制度の概要についてご紹介しました。
 住宅性能表示制度は、住宅の性能が比較しやすく、新築・中古に関わらず、住宅購入者が自分の住まいを選ぶための重要な基準となる為、今後、より活用されていく制度です。今後、このブログでもこの制度について、色々とご紹介していきますので、是非チェックして、参考にして下さい。

※参考 (公財)日本住宅・木材技術センター 『木造住宅のための住宅性能表示』